一級建築士を目指す方向けに、専門学校の選び方や大学との比較、社会人の夜間・通信ルート、卒業後の働き方まで、最短合格のための実践的な情報を網羅した専門ガイドです。

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最短ルートはどちらも「6年」のカラクリ

専門学校から一級建築士になるまでの6ステップ


専門学校ルートの流れは、入学前の学校選びから免許登録まで6つの段階に分けられます。それぞれの段階で「やっておくべきこと」が明確に違います。


ステップ1:指定科目を設置した専門学校を選ぶ 最重要かつ、後から取り返しがつかない工程です。同じ「建築系専門学校」でも、一級建築士の指定科目を満たす学科と、そうでない学科(インテリア系・施工系など)が混在しています。募集要項の「取得可能資格」欄に一級建築士の受験資格が明記されているかを必ず確認します。

ステップ2:在学中に製図・CAD・BIMの基礎を固める 専門学校の強みは、1年目から手を動かす授業が始まる点です。設計製図の課題、模型制作、CAD演習、BIM実習が短期間に集中します。ここでの手の速さが、後の設計製図試験にそのまま効いてきます。

ステップ3:在学中または卒業直後に二級建築士を取得する 多くの専門学校が、二級建築士の受験・合格をカリキュラムの目標に据えています。二級で学ぶ法規・構造・施工の土台は一級とほぼ同じ領域なので、ここを踏み台にするのが定石です。

ステップ4:就職して実務経験を積み始める 設計事務所、ゼネコン、ハウスメーカー、工務店、設備会社、行政など進路は幅広く、どこに就職しても実務経験としてカウントされる業務であれば年数が積み上がります。就職前に「その職務が実務経験に該当するか」を確認しておくと安心です。

ステップ5:一級建築士試験に挑戦する 卒業年から受験可能ですが、実際には資格予備校の講座を併用しながら1〜3年かけて合格を目指す人が多数派です。学科と製図で対策の性質がまったく異なるため、年間計画を分けて考えます。

ステップ6:必要年数を満たして免許登録する 専門学校2年制なら実務4年、3年制なら3年。試験合格と実務年数の両方が揃った時点で登録申請を行い、正式に一級建築士となります。

二級建築士をステップにする学び方


一級を最終目標にしていても、二級建築士を先に取るルートには実利があります。


  • 二級の学科範囲は一級と重なる部分が多く、基礎固めとして効率が良い
  • 二級を持っていること自体が就職・転職の評価材料になり、資格手当の対象になる企業もある
  • 一級の設計製図試験で問われる作図スピードを、二級の製図試験で先に体験できる
  • 一級に数年かかっても、その間に「建築士」として設計業務に関われる範囲が広がる
一方で注意点もあります。二級の勉強に時間を割いた分、一級への着手が遅れるケースがあることです。在学中に二級まで仕上げるカリキュラムかどうかは、学校ごとに差が大きいポイントなので、オープンキャンパスで具体的なスケジュールを確認しておきましょう。

大学と専門学校を徹底比較|最短ルートはどちらも「6年」のカラクリ


高校卒業から免許登録までの最短期間は、大学ルートも専門学校2年制ルートも同じ6年です。「大学4年+実務2年=6年」「専門2年+実務4年=6年」「専門3年+実務3年=6年」と、どの組み合わせでも合計が揃うように制度が設計されているためです。


つまり「専門学校のほうが早く一級建築士になれる」わけではありません。では何が違うのか。違いはお金と時間の使い方、そして学びの重心に出ます。


大学と専門学校の比較表


比較項目大学(4年制)専門学校(2年制)専門学校(3年制)
在学期間4年2年3年
学費の総額目安国公立で約250万円前後/私立理系で約500万〜700万円約200万〜300万円約300万〜450万円
免許登録までの実務経験2年4年3年
高卒からの最短年数6年6年6年
就職開始の年齢目安22歳20歳21歳
学びの重心理論・意匠論・研究・都市計画など幅広い設計製図・CAD/BIM・法規など実務直結実務+応用のバランス
給与のスタートライン大卒基準専門卒基準(大卒より低く設定される企業もある)専門卒基準
学位・進学学士。大学院進学が可能専門士。大学院進学は原則不可(要件による)高度専門士なら大学院受験資格が得られる場合あり
※学費は学校・地域により幅があります。必ず志望校の最新の学費表で確認してください。

見落としやすい「4年間の差」の意味


大学ルートと専門学校2年制ルートの違いを実感として表すと、「学生でいる4年間」か「働いている4年間」かという差です。


専門学校2年制の場合、20歳で就職して4年間の実務を積みます。この4年間は給与を得ながら現場を学ぶ期間であり、学費もかかりません。生涯の収支で見れば、この差は小さくない金額になります。


一方、大学ルートは在学期間が長い分、構造力学や環境工学を数式レベルで扱う時間、設計課題に長期間取り組む時間、研究室での専門的なテーマ探求の時間を確保できます。大手組織設計事務所やゼネコンの設計部では、応募条件や採用実績が大学・大学院卒中心になっている場合があり、志望先によっては学歴要件を先に確認しておく必要があります。


なお、大学院に進学する場合は、所定の要件を満たすインターンシップ等の期間が実務経験として扱われる制度もあります。研究と実務を並行させたい人は、この仕組みも検討材料になります。


大学が向いている人・専門学校が向いている人


大学が向いている人
  • 意匠設計や都市計画など、理論的背景を含めて深く学びたい
  • 大手組織設計事務所・ゼネコン設計部・公務員(建築職)を志望している
  • 大学院進学や研究職も選択肢に入れている
  • 高校で数学・物理を履修しており、理論科目に抵抗が少ない
専門学校が向いている人
  • 早く現場に出て実務経験を積みたい
  • 学費の総額をできるだけ抑えたい
  • 手を動かす授業で学ぶほうが定着しやすい
  • 社会人で、働きながら夜間部で指定科目を履修したい
  • 住宅・工務店・設計施工など、地域密着の実務を志向している
どちらが優れているという話ではなく、志望する働き方から逆算して選ぶのが正解です。

専門学校の学費相場と、一級建築士取得までの総費用


専門学校の学費は年間100万〜150万円程度が相場で、2年制なら総額200万〜300万円が目安です。ただし一級建築士を取るまでの総費用を考えるなら、学費だけを見ていては足りません。


在学中にかかる費用の内訳


費目目安補足
入学金10万〜30万円初年度のみ
授業料年間70万〜110万円学科・学校で幅がある
実習費・施設費年間15万〜30万円CAD・BIM環境、製図室の維持費など
教材費・製図用具初年度に10万〜20万円製図板、三角定規、模型材料など
ノートPC15万〜30万円BIM/CADが動くスペックが必要。指定機種がある学校も
資格受験料・対策講座数万円〜在学中の二級建築士受験など

卒業後、一級建築士に合格するまでの費用


見落とされがちですが、一級建築士試験の対策として資格予備校に通うのが一般的で、費用は年間100万円前後かかります。学科と製図でコースが分かれている場合、両方受講すれば負担はさらに増えます。


ケース学校の学費資格予備校概算合計
専門学校2年制+予備校1年約250万円約100万円約350万円
専門学校3年制+予備校1年約380万円約100万円約480万円
専門学校2年制+予備校2年約250万円約180万円約430万円
この予備校費用は、就職先の資格取得支援制度で全額または一部が補助されるケースがあります。企業によっては受講料の会社負担、合格時の報奨金、受験前の特別休暇などを制度化しています。就職活動の段階でこの制度の有無を確認しておくと、実質負担が大きく変わります。

学費負担を軽くする手段


  • 日本学生支援機構の奨学金(貸与型・給付型)
  • 高等教育の修学支援新制度(対象校・世帯要件あり。授業料等減免+給付型奨学金)
  • 専門実践教育訓練給付金(社会人向け。後述)
  • 学校独自の特待生制度・学費減免(成績、資格取得、指定校推薦など)
  • 就職先企業の資格取得支援制度(予備校費用の補助)
  • 教育ローン(日本政策金融公庫など)
対象になるかどうかは学科単位で決まっていることが多いため、「学校が対象」ではなく「その学科が対象」かを必ず確認してください。

失敗しない専門学校の選び方|8つのチェックポイント


学校選びで最も重要なのは「一級建築士の指定科目を修められる学科かどうか」です。ここを外すと、卒業しても受験資格が得られません。その上で、以下の8点を比較すると差が見えてきます。


学校選びチェックリスト


#確認項目確認方法見落としやすい注意点
1一級建築士の指定科目に対応した学科か募集要項・公式サイトの「取得できる受験資格」欄同じ学校内でも学科によって対応が異なる
2修業年限(2年/3年/4年)学科概要年限が短いほど実務経験年数は長くなる
3二級建築士の受験・合格支援体制在学中受験の可否、対策講座の有無「合格実績」の分母(受験者数)を確認
4卒業生への一級対策支援卒業後の講座受講、提携予備校の割引制度支援が在学生限定のケースがある
5BIM/CADの実習環境導入ソフト、PC台数、実習時間数ソフト名だけでなく「何時間触るか」が重要
6就職支援と就職先の傾向就職実績一覧、キャリアセンターの体制志望する業態(設計/施工/住宅)と合うか
7通学負担・時間割授業時間帯、通学時間、夜間の終了時刻社会人は終業時刻からの移動時間を実測する
8学費と給付金・奨学金の対象可否学費表、給付金の指定講座一覧学科単位で対象・非対象が分かれる

「合格実績」の正しい読み方


合格実績が高い学校を選びたい、というニーズは自然なものですが、掲載されている数字は読み方を間違えると比較になりません。以下の観点で数字を分解してください。


  • 分母は何か:全卒業生か、受験者のみか、対策講座の受講者のみか
  • 在学中の実績か卒業後の実績か:一級は卒業後の受験になるため、掲載が「卒業生の累計」であることが多い
  • 二級と一級が混在していないか:在学中に狙えるのは通常、二級建築士
  • 同一年度の数字か:複数年度の累計を1年分のように見せている場合がある
公式サイトの実績ページで判断がつかない場合は、オープンキャンパスや個別相談で「昨年度の受験者数と合格者数」を直接尋ねるのが確実です。誠実に答えてくれるかどうかも含めて、学校を見る材料になります。

オープンキャンパスで聞くべき質問例


  • 一級建築士の指定科目は、どの科目がどの学年に配置されていますか
  • 在学中に二級建築士を受験する学生の割合はどれくらいですか
  • BIMソフトは何を使い、年間何コマの実習がありますか
  • 卒業生が一級対策を受けるときの支援制度はありますか
  • 就職実績のうち、設計職として採用された割合はどの程度ですか
  • 課題提出が重なる時期の一日のスケジュールを教えてください

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